乳がん術後ホルモン治療中は子宮体がん検診をした方がいいの?

新垣です。

先日、子宮体がん検査は不正出血の症状がなくて、超音波で異常がなければする必要はないと書きました。その例外として、乳がんの術後治療としてホルモン療法を受けていらっしゃる場合は体がんのリスクが高いので、症状がなくても体がん検査をするというのが婦人科界の常識でした。

でも、ホルモン療法を受けて生理が止まり、子宮の入り口も狭くなっているような状況で行う体がん検診はかなり痛みを伴うことも多く、私は内心「不正出血がなくて超音波でも全然異常がないのに、苦痛を感じるこの検査を毎年1ー2回も受ける必要があるのだろうか」と感じていました。

そこで今回真偽を調べてみたところ、乳癌診療ガイドライン2022に以下のように書かれていました。
「タモキシフェン内服前にすでに良性ポリープがあるような「子宮内膜癌高リスク患者」でない限り,定期的な子宮体がん検診が子宮内膜癌の早期発見に有効であるというエビデンスがないことに加えて,子宮に対してより侵襲的な検査を行うことが多くなるなどの不利益を考慮すると,無症状の場合については定期的な子宮体がん検診は推奨されない。」(実際のページはこちら

なんとなんと。ガイドラインで無症状の方への体がん検診が推奨されていないではありませんか。これは、乳がんのホルモン治療で体がんの発症は増加するけど死亡率は増加しないことからの結論のようです。それに対しこちらの先生は、死亡率は増加しなくても初期で見つかる方がいいから、体がん検査はしなくても定期的な経腟超音波はする方がいいと書かれており、大変参考になります。

という訳で現在は、乳がん術後でホルモン治療中の方は、不正出血がなくて経腟超音波で異常がなければ体がん検診は不要です。知識は常に最新のものを入れないと、と反省しました。

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