現代の生理に対する私の思い
新垣です。
今回は私が連載しているCLIP函館の1-2月号に掲載した記事を紹介します。
もうすぐ発刊終了となりますが、最後に何を伝えようかと考えた末、私が生理について感じている本音を書きました。
『皆さんこんにちは。CLIPが残り2回で終了してしまうとは寂しいですね。創刊当初からこれまで色々なテーマを取り上げました。最後から2回目の今回は、生理についての私の思いを書くことにします。
女性にとって「あって当たり前」の生理ですが、昔と現代の女性の生理は随分様子が違います。まず【平均初経年齢】現代11~12歳/1900年15歳、【平均閉経年齢】現代52歳/1918年48歳、【1人の女性が生む子供の数】現代1.15人/1925年5.1人、【1人も出産しない女性・100人中】現代27人/1925年2人。
こうして、初経は早く、閉経は遅く、出産回数は少なく、子供を産まない女性が増えた、その結果、現代女性の生理回数は昔よりずっと多くなりました。昔の女性の生涯生理回数はたった50〜100回ですが、現代は400〜500回以上とも言われます。生理が多くなったことは仕方なく、これだって自然な状態と考えるかもしれません。けれど、初経が早くなったために小中学生でも重い生理痛や月経前症候群で悩む女の子が沢山いる現状。また、子宮内膜症という生理痛や不妊症の原因となる疾患、子宮体がん・乳がん・卵巣がんが増える原因にもなっていて、今の状態が現代女性にとって良い状態とは決して言えません。加えて、死ぬまで男性ホルモンがつくり続けられる男性と異なり、女性は閉経をきっかけに女性ホルモンがゼロとなる結果、閉経後の体は大きく変化します。更年期障害と呼ばれる様々な不調の出現、骨粗鬆症による骨折のリスクの増加、膣や外陰部の不快感、さらに閉経後は高血圧や脂質異常症といった生活習慣病が発症しやすくなり、健康管理により注意が必要となります。
私から見る現代の生理は、まるで足かせの様に女性につきまとっているように思えますが、幸い医学の発展は【女性ホルモン治療】を生み出してくれました。皆さんは女性ホルモン治療にどんなイメージがありますか?きっと「怖い」「副作用が強い」等マイナスの印象を持っている方も多いと思いますが、今の女性ホルモン治療には素晴らしい効果があります。低用量ピルは生理痛や月経前症候群を軽くし、子宮内膜症の予防と治療・子宮体癌や卵巣癌を減らす効果を持ち、月経回数を減らすこともできる等、まさに現代女性に必要な薬です。更年期障害に使う女性ホルモン補充療法は、更年期症状の治療以外にも骨を強くする・脂質異常の改善などの嬉しい作用があります。副作用はゼロではありませんが軽微なものがほとんどで、多くの方で安全に使うことができます。
世界に目を向けると、15~49歳女性の低用量ピル使用率(2019)はフランス・カナダ等で30%を超えるのに日本では2.9%とまだまだ普及していません。婦人科医としての私の願いは、女性が生理に煩わされることなく人生を過ごすこと。毎月の重い生理を当たり前とせず、勇気を出して治療を試してほしい。そのためには保護者世代が正しい知識を持つことも必要です。子供達の治療の鍵を握るのは【親】です。親御さんが正しく知らなければ正しい治療につながりません。是非、多くの方が女性ホルモン治療を理解し適切に利用して、女性の体を持った自分自身を楽しく生きてほしいと思います。』(CLIP函館 2026年1−2月号)
生理で人生を損する女の子や女性が1人でも減るといいな。


