緊急避妊薬について:当院の処方状況と市販化について思うこと

新垣です。

今回は緊急避妊薬について。当院の処方状況と、最近の話題である市販化について思うことを書きます。

まず当院の処方状況について。

クリニックを開院する時、絶対やるぞ!と思っていたのが「緊急避妊薬の学生料金設定」でした。

緊急避妊薬は、昔よりは安くなったとは言うものの、学生さんにはまだまだ高額な料金。もっと学生さんが利用しやすい金額にしようと考えていました。

では、いくらにしたらいいだろう?

女子校で性教育授業を行った際に生徒たちに聞いてみました。


「7000円くらいならどう?」
数人が首を振って、高い〜、という反応。

「5000円は?」
うんうんと頷いて、それくらいなら払えそう、という感じ。

結果、当院の学生料金は5500円に決定しました。恐らく、日本全体をみても最安値に近いのではないかと思います。

では、実際にどのくらいの方が緊急避妊薬を希望し来院されたのか。開院から1年3ヶ月経った今年7月末までの処方人数を数えてみました。
以下が結果です。

緊急避妊薬を希望した年齢で最も多いのは20代前半、次に多いのは10代後半でした。

では10代を年齢別に見てみましょう。

19歳が最多ですが、15歳〜18歳の受診も少なくない。15〜19歳の受診者は、1人を除いてみな学生さんでした。また、20代前半も学生さんが多かったです。

この結果を見ると、価格が安いことで学生さんが相談しやすかったという可能性は大いにありますね。

次に、緊急避妊薬ノルレボの市販化について。ノルレボは、現在主流の緊急避妊薬レボノルゲストレルの先発品です。

8月29日に厚労省が、ノルレボの市販化を承認したため、来年春ころには薬局で医師の診察なしに薬を購入できることになりました。

これについて賛否両論ありますが、私は賛成です。望まない妊娠を防ぐために、安全に緊急避妊薬が購入できる場所が増えるのは日本の女性にとって良いことだと思います。

ただし、一つだけ危惧することがあって。それは、市販化された場合に対応する薬剤師さんが「緊急避妊薬を内服したその後の避妊方法について」きちんと情報提供をしてくれるか、というところ。

私が緊急避妊薬を処方する際には、その後の避妊法についても話します。
緊急避妊薬が必要になる状況というのは、コンドームが取れた・やぶれた・つけていなかった/強姦被害にあった,、のいずれかです。前者の場合は、今後も同様のことが起こり得ます。ですから、コンドームの付け方についての情報提供に加え、緊急避妊薬のような避妊効果が低めの方法は今回限りにして、以後は低用量ピルや子宮内避妊具の、より高い効果の避妊法を勧めます。全員が「はいそうします」とはなりませんが、説明すると、何人かは低用量ピルや子宮内避妊具を希望され、結果より安全な性行為を行うことができるようになります。
後者の強姦被害にあった場合、こちらから尋ねないと被害にあったことを話さない方もいます。同意のない性行為ではなかったかどうかを確認して、必要な時は専門機関につなぎます。

今後市販化となった場合は、薬局で処方を受ける人が増えますから、対応する薬剤師さんは是非、その後の避妊方法について伝える、性暴力ではなかったかどうかの確認をしてほしいです。しっかり研修を受けた薬剤師さんだけが緊急避妊薬の取り扱いを行うはずなので、こんな心配はいらないのかもしれませんが、、 
薬剤師さんには是非、産婦人科医がやっていた役割を担うんだ!という気概を持って、処方に挑んでほしいと願います。

あとは値段ですね。いくらくらいの価格になるのか。ヨーロッパやアメリカでは1000円~5000円程度で売っているらしい緊急避妊薬ですが、日本では納入価が高く、この値段で販売することは難しいでしょう。価格が高くては、購入のハードルが高いことは変わりません。学生さんでも手に入りやすい価格になると良いですね。

※上の2つのスライドは2025/8/31の第43回北海道思春期研究会で使用したものです。