ピルは何歳まで内服できる?
新垣です。今日は、患者さんからよく頂く質問「低用量ピルは何歳まで内服できる?」について書きます。
低用量ピルは、避妊目的だけではなく、生理痛、過多月経、月経前症候群などの治療にも用いられる優れた薬です。
ただ、まれではありますが血栓症という重大な副作用があるため、血栓症のリスクがある方は内服ができないことになっています。具体的には ・35才以上でたばこ15本以上 ・前兆のある片頭痛がある(頭痛が起こる前にぎざぎざした様な光が見る)・血栓症の既往がある などです。
年齢的な基準はどうかというと、年代が上がるにつれて血栓症の発症が増えるため、ピルのガイドラインでは40才からは慎重投与、50才からは内服不可となっています。40代の「慎重投与」というのは、血栓リスクが少ない健康な女性には投与可能だけれども、少しでも血栓症のリスク(肥満、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症など)がある方はピルを飲んじゃいけません、という意味です。
このように、40代からピルの内服に制限が加わるため、医師の中には「40才になったら全員ピルを中止する方がよい」と考える方もおられ、「主治医からピルをやめるよう言われたけど、やめなくちゃダメですか?」と相談されることがあります。
私はガイドライン通りの考えで、血栓症リスクがなく、ご本人が内服継続を希望する方には40才以降も内服を続けますし、血栓リスクがある方は、他の方法への変更(黄体ホルモン剤の内服、ミレーナの装着)をお願いします。また、新規にピルを開始する年齢は42〜43才位までとしています。
私自身、30代からピルを内服しており、現在47才ですが、血栓のリスク要因がないのでピルを続けています。月経を軽くする、PMSを改善するなど、ピルを飲むメリットの方が自分にとって大きいのです。
ということで、ピルをいつまで内服できるかは個人によって違い、主治医によっても考えが異なります。相談しながら、その時のあなたに一番合う方法を選択できると良いですね。