CLIP函館の連載記事をご紹介〜女性ホルモン治療は怖い?
新垣です。
今回はCLIP函館に連載中の私のコーナー「女のカラダノート」から、1ー2月号に掲載した記事を紹介します。
更年期障害に用いられる女性ホルモン補充療法は、副作用が少なくとても有用なものです。しかし日本ではホルモン剤への偏見があり、欧米ほど普及していません。もっと気軽にこの治療を受け、つらい更年期障害から解放される女性が増えてほしいとの願いから、この記事を書きました。
Q.更年期障害に女性ホルモンの治療があるそうですが、怖いものではないですか?(50代女性)
A.焼肉のホルモンは好きでもホルモン剤には嫌なイメージを持つ方が多いですね。でも女性ホルモン補充療法は怖いものではなく更年期障害を乗り越える心強い味方です。「更年期」は閉経の前後5年を指し、この期間には卵巣の働きが弱まり、分泌されるエストロゲンが変動、減少します。エストロゲンは自律神経の調節や感情のコントロールに関わっているため、エストロゲン量の低下によって「更年期症状」と言われる異常な汗、ほてり、動悸、精神不安感等が起こり、症状が重く日常生活に支障をきたすほどになると「更年期障害」と呼んでいます。厚労省がR4年に行った調査では、40代女性の28%、50代女性の38%が自身に更年期障害があると感じたのに、病院を受診したのは40代で3.6%、50代で9.1%だけ。恐らく市販の薬を試される方が多いのでしょうが、市販薬で効果がない場合や、症状が重くしんどい時は遠慮なく婦人科医に相談してほしいです。女性ホルモン補充療法は、女性ホルモンが使えない場合(乳がんや子宮体がんの既往等)でなければ安全に使用できます。用いるお薬は、子宮がある方にエストロゲン剤と黄体ホルモン剤、子宮がない方にはエストロゲン剤のみです。子宮がある方にエストロゲン剤だけを使うと子宮体がんのリスクが上がるため、それを打ち消すために黄体ホルモン剤が必要となります。黄体ホルモン剤は種類により5年以上の使用で乳がん発症が0.1%だけ上昇しますが、リスクは非常に小さく治療のメリットの方がずっと大きいです。もちろん女性ホルモン以外を希望される方には他の治療法もあります。あなたに合う治療を医師と探していきましょうね。