生理痛はどうして起こるの?

新垣です。今回は生理痛が起こる理由について書きます。

生理痛の原因には①子宮や卵巣に異常はないけれど痛みが起こるタイプと、②子宮や卵巣に病気があって痛みが起こるタイプ、の2つがあります。

①のタイプを機能性月経困難症と言い、特に10~20代の若い世代の生理痛の原因に多いタイプです。これは、経血の成分である子宮内膜を子宮の壁からはがれさせるために子宮がギューと強く収縮することで痛みが起こります。子宮の壁がはがれ落ちる時にプロスタグランジンという、子宮を収縮させる物質が作られるのですが、このプロスタグランジンが痛みや吐き気、頭痛などの原因にもなります。

②のタイプを器質性月経困難症と言い、子宮筋腫子宮腺筋症などの病気が原因となって痛みが強くなるタイプです。これらの病気は30~40代になると有病率が増えてきて、子宮筋腫は3人に1人、子宮腺筋症は5人の1人の女性にあると言われています。筋腫や腺筋症では子宮が大きくなり、子宮の中の面積が広くなることで月経量が増加するため、それを排出させるために強い子宮収縮が必要となります。そのために沢山のプロスタグランジン産生されて、生理痛が強くなります。その他、子宮内膜症という病気では子宮や卵巣周囲がまわりとくっついてしまう(癒着)ことで、強い生理痛だけでなく、骨盤痛、排便痛、性交痛が起こることがあります。

治療には、プロスタグランジン産生を抑える痛み止め、子宮収縮をやわらげる鎮痙剤、経血量を少なくし子宮収縮を抑える低用量ピル・ジェノゲスト、ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)など色々あります。痛み止めが効かない生理痛をほおっておくことは、日常生活にも大きな影響が出ますし、将来子宮や卵巣に病気(特に子宮内膜症)が起こるリスクが高まります。婦人科ではあなたに合う治療を一緒に考えます。気軽に受診して下さいね。