痛みについての考え方~ペインクリニック医の経験から

新垣です。

私は以前、麻酔科医をしていました。麻酔科と聞くと手術室で麻酔をかけるイメージが強いと思いますが、もう一つの大事な分野として、「ペインクリニック」があります。

麻酔科医として働き始めた当初は、麻酔科のイメージ通り手術室で全身麻酔や腰椎麻酔だけを行っていましたが、その後転勤した病院で先輩の麻酔科医がペインクリニックという痛みの治療を行っており、そちらの手伝いを頼まれたのがペインクリニックとの出会いです。

ペインクリニック医は、他の病院で良くならない痛みを抱える患者さんの痛みを、神経ブロック(注射)や内服薬を使って軽減させるのが仕事です。治療が効くと、それまで苦しんでいた痛みから解放された患者さんはとても喜んでくれます。手術の麻酔では患者さんと直接話すことは少ないのに対し、ペインクリニックではなじみの患者さんから嬉しい言葉をかけてもらえる。もともと、人と話すのが好きな私には合っていたのでしょう。ペインクリニックの面白さにはまって行きました。

私にペインクリニックを教えた先輩は常々こう話していました。「その人の痛みは本人にしか感じられない。他人には絶対わからない。だから、患者さんが痛いと言ったら痛いんだ。そんなに痛いはずはない等と否定してはいけない。本人の訴える痛みをそのまま受け入れて、少しでも軽減できるように全力を尽くすんだよ」

この言葉は、婦人科医となった今も心に刻まれています。生理痛が痛いと訴える患者さんの中には、周りに痛みが理解されず悲しい経験をした方も多くいます。が、痛いものは痛い。つらいものはつらい。

本人が感じるつらさをそのまんま受け入れて治療をするのは、婦人科でも同じです。

やまちゃん:散らかったテーブルの上で