更年期障害のやっかいな症状とは
新垣です。今日は更年期障害について書きます。
更年期という閉経の前後5年には、女性ホルモンの乱れや低下によって様々な症状(更年期症状)が起こることがあり、この症状が日常に影響がでると「更年期障害」と呼び、治療が必要となることがあります。
更年期障害の症状の代表的なものはホットフラッシュと呼ばれる顔のほてりや上半身にかく汗ですが、その他にも動悸、めまい、だるさ、落ち込み、不安など多彩です。でも、今書いたようなものは更年期障害の症状としてよく知られているので、ご本人にもわかりやすいです。
でも、ちょっとわかりにくく、でも結構しんどく辛い、というのが「関節痛」です。
手や肩、足などの関節がこわばる・しびれる・痛むなどの症状が出ると、多くの方は最初に整形外科を受診されます。そちらで「リウマチではないね」「特に異常はないね」と言われ、とりあえず痛み止めを処方されたけれど効果が乏しい。その後、脳外科や神経内科などを受診されてやはり異常がないと言われた頃に、これは更年期障害の症状では?と思い当たり、もしくは知人から助言されて、ようやく婦人科に、ということがよくあるんです。
このように書くと誤解を招くかもしれませんが、更年期障害というのは除外診断でもあり、他の科の病気じゃないかをまず調べて、よし、他の科の病気じゃないな、と確認してから婦人科の治療を開始する(もしくは同時並行で婦人科治療と他科の検査をする)ので、整形外科などの科を最初に受診したことがムダとか、遠回りと言っているわけではありません。更年期に関節痛が出て、最初から婦人科を受診された場合でも、整形外科的な病気ではないか確認するため、整形外科を受診して頂くことが多いですし、どこの科を受診したとしても、最終的にその方にあった治療を行い、症状が改善できるならそれで良いのですから。
話しを戻します。更年期障害の治療の代表的なものは「女性ホルモン補充療法」と「漢方薬」ですが、私の印象では漢方薬で関節痛を改善させるのは難しいような気がします(単に私の漢方の知識が乏しいだけかもしれませんが)。では女性ホルモン補充療法はどうかというと、速やかに痛みが改善する方もいますが、改善されない方も多いのが関節痛治療のやっかいなところです。
良くならない場合は治療法がないのかというとそんなことはありません。その時は私が過去に携わっていたペインクリニックの痛み治療の知識がとても役立ちます。ロキソニン等の痛み止めとは異なる、痛みに効果がある種々の薬剤を組み合わせて、日常生活に支障がない程度まで症状を軽くすることを目標に、治療を行います(それでもよくならない場合は、ペインクリニック等に紹介します)
生理が不順になってきた頃に合わせて関節痛が出てきたという方は、頭の片すみに更年期障害の可能性も置いて頂き、他の科の治療で改善されなければ、婦人科受診を考えてみて下さいね。

何か訴え顔のやまちゃん。